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介護予防工事で安くできるのにあえて利用しなかった事例1床段差スロープ

床に段差が有るのでスロープを付けてほしいとの依頼でした。

 

部屋の間に9㎝ほど下がったローカの床が体の不自由な、

お年寄りには足がひっかかるらしいのです。

最近こそはバリアフリーが当たり前で段差は不要とされています。

しかし昔の納まりは各部屋との段差は大きいほど威厳が有り

重厚な作りで立派に見せる手法でも有りました。

よって敷居や上がり框などの横面を大きな寸法で見せつける

見付寸法の確保は必須でした。

機械加工の段階で不用意に削り過ぎて寸法が五厘(約1.5㎜)でも

小さくなると親方に怒られて大問題でした。

今では段差が通用しない事になり、すべてとは言い切れませんが

世情が変わってきました。
 

高齢で要介護を必要とする御客様が自室で転んで体調不良となり
明らかに床の段差が大きいローカーを警戒され

介護予防工事が必要となり掛かりつけ介護施設の担当者に相談すると

色々と提案されてプランを提示されたそうです。

しかし・・その提案に至る過程での折衝が御客様の気持ちを

土足で踏みにじる対応だったとの事。

介護施設の担当者は介護保険のマニュアルに沿った提案で

普通だったかも知れません。

しかし現場調査の仕方などは勝手に部屋を開けて出入りしたり

・・とても不快だったそうです。

 

おそらく・・「部屋を見せて頂いて宜しいですか?」・・と

一言、尋ねれば良かったはずです。

 

この辺りの配慮が欠けたのだと思われます。

 

この辺りは付加価値の問題でリピーター確保には必須です。


生活動線を短距離にして危険を回避したり安全策を重視した

ベストプランだったかも知れません。

しかし各家庭にはそれぞれの家庭環境や家族同士でも本音を表せない

プライベート事情があります。

そこを十分に配慮せず杓子定規に物理的な優位性のプランだけを

推し進めても妥協しかねる事があります。

介護保険適用を利用すれば費用は10%の自己負担で済む事で

金銭的には明らかに有利でした。

それを全額有償で、あえて他に依頼したくなるとは・・

消費者心理とは、とてもデリケートなモノです。
 

私も他のヘルパー・ケアマネージャーさんなどからの依頼で

介護保険関連工事に関わる事が有りますので見積りして

受注するまでには、何度も自己負担の差については説明しました。

しかし承知の上との事で心情的に納得するには

金銭の損益では計り知れない別の価値観が伺えます。


御客様の願望では床に直接釘打ちやビス止め、ではない、

やさしい仮設納まりが御希望でした。

簡単にはズレない取り付け方でシンプルが好みのようだったので、

かなり工夫は必要でしたが敷居、下の引っ込み代に挟み込んだり

既存物には最低限の止め方などの工夫した納まりにしました。
スロープ?.JPG
骨組は野縁材の38㎜角と12㎜構造合板の床下地板に

後から外せるビス止め組。

仕上げはニードルパンチの普及品を両面テープ張り仕上。

床板合板のスロープ形状で鋭角付近は

刃先削りの加工で注意が必要でした。

介護保険適用の段差は5㎜以上の目違いで、

つまづきの原因とされています。

刃先削りの加工は仕上り段差が5㎜以下を目指しましたが
ニードルパンチの巻き込み厚さが必要でギリギリでした。

パンチカーペットの張り方は変形のため角の刃先や稜線では

突付切りでカバー被せが簡単ですがシンプル仕上げが

御希望だったので継ぎ合わせでなく一枚物で納めました。

すべての部材は不要になったら外せるように床や敷居に

キズを残す事なく解体撤去できます。

変形モノの製作は図面で書き表せないと作れないので

略図でも良いので図を利用してイメージを形へと変えていきます。

 

それでも納まりが付かない時は・・

現場の現状と部材を目の前にしながら触れたり観入ったりしていると

自然に色々な納まりやヒントのイメージが書き換えられてきます。

机上で図面を前にして、いくら考慮しても浮かばなかった事が

現場でフト気が付く切っ掛けがあります。

この辺りが施工現場に関わる者が体感できる

不思議で面白い部分かも知れません。

床には手摺の取付も関係していたので最終的に手摺の下端で

垂直に押えて固定が決まる納まりです。

手摺取付は介護保険の適用が有る無しに関係なく

安全な強度と納まりは必要です。

しかし介護予防工事の適応遵守では部材の規格寸法や

取付施工方法なども細かい規定が有りますので不要なコスト節減も含めて

適応外に準じても安全許容範囲で簡素化にしました。

施工後の課題としてはスロープの傾斜角度と踏み代距離は

ギリギリですが滑り感覚は多少、残ります。

足の裏に優しいソフトな素材の滑り止めステップの取付も提案しましたが

摩擦抵抗で引っ掛かり過ぎは困るとの事でパスされました。

 

そんな場合は傾斜部分だけは滑り止めの

溝切り加工した木材仕上も有効です。

しかし御客様は足の裏、感触では

ニードルパンチで良かったらしい感想でした。

些細な事でも、やってみないと色々な事が見えない場合が多いです。